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 Sep 12,2020

■春泥尼抄

 今東光の「春泥尼抄」を読了。長編なので、寝る前に1時間ぐらい読んで1週間はかかったか。かなりおなか一杯。

そういえば、今東光が出家して僧侶になった際の法名が「春聴」。この春の意味はこの小説の春泥の春と同じ意味だと思われ。あとがきにこの小説が映画化されているとのことが書かれており、調べるとそれは日活の「春泥尼」(1958年)という作品。この作のキャストを見て思わず笑ったのが、春鏡に左幸子、春泥に筑波久子(日活の肉体派と言われた方)、平沼健吉が岡田真澄(ここ、あまりのはまり役で一番笑った)、泉田先生に二谷英明で、また、ちょい役らしいがこの手の作に欠かせない感のある小沢昭一まで出演していたとのこと。これは観てみたい。

さらにあとがきには機会があればこの続編を書きたいと記してあるので、調べたがそれはない模様。ところが、映画の方は続編のようなものが製作されたようで、そのタイトルは「大吉ぼんのう鏡」(1962年)という作。キャストは筑波久子だけが残り、谷崎潤一郎が加虐的な顔と評した炎加代子も出演。これはもちろん今東光の原作ではなく、日活の作でもなく、大宝というあまり聞いたことのない映画会社の配給。大宝は新東宝が倒産した後に設立された会社だというので新東宝のエログロ路線を引き継いだのだろうが、4カ月で業務停止になるので、こちらのほうが本編よりはレアで、観るのは大変だろう。ポスターなどがネットに上がっていたが、これはポルノまがいの作と見てよさそう。それにしてもこのポスターに「青い山脈」(1949年)で原節子の相手役の善良な医師を演じた龍崎一郎がエロ坊主のような態で出ているのは驚く。1962年にはすでに映画産業はそれほど斜陽であったということか。

 

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