■変わった物件
その昔、仕事場を探していた時にずいぶん色々な物件を見て回ったのですが、かなり変わったマンションに出くわすことがありました。
そのひとつ、場所は元町にほど近い場所で、駅からも徒歩圏という好立地。早速、見に行くと、築年はかなり古いのですが、エントランスはまるでギャラリーのような作りで、さほど大きくない建物なのにロビーが広くとってあります。目を細めてみれば海外の路地裏にあるようなアパルトメントに見えないこともありません。上の部屋を見に行くと、目を惹いたのは広い廊下に飾ってあるたくさんの絵。オーナーさんの趣味かなにかなのだろうかと思いました。
さて、肝心の部屋はどうかといえば、強いて言えば1LDKなのですが、全くパーテーションがないので、ほぼワンフロアー。バスも確かユニットではなかったような気がします。ただし、ここでひとつ気が付いたのです。洗濯機置き場がないことを。
案内してくれた人に、洗濯はどうするのですかと聞くと、洗濯するスペースは別にあると案内されたのが、屋上に近いバルコニーのような場所。そこに洗濯機が数台置かれていてそこで洗濯をするのだと言うのでした。いきなりここで学生下宿の共同炊事場の世界になり、あのややアールヌーボー風のエントランスとの奇妙なバランスに驚いたのでした。
結局、他にも希望に沿わない部分もあり、この物件は見送ったのですが、今思えば、あれは元々ホテルだった建物を改装して賃貸にしたのではと思ったのです。そう考えれば、エントランスの感じも、廊下も、ワンフロアーの部屋も、なにかとってつけた感のあったキッチンセットも、外の洗濯場も全て納得がいくのでした。
ちなみにグーグルのストリートビューで確認すると、今は高級そうなマンションになっていました。
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