■カンサス・シティ

　前テキストでソングライターチームのリーバー＝ストーラーの名前が出たので続けて「カンサス・シティ」を。

「カンサスシティ」のオリジナルは1952年のリトル・ウィリー・リトルフィートのバージョン（タイトルはK.C.Loving）で、1959年のウィルバート・ハリスンのカバーでヒット曲となりました。ここまでは比較的のどかなシャッフルアレンジだったこの曲でしたが、これのキーを上げてブレイクを付け、よりヘビーに仕立てたのがリトル・リチャード。ちなみにどのくらいキーを上げたかと言うと、オリジナルのキーはC、リトル・リチャードはGでカラオケで言えば7つ上げというわけで、男性曲を女性が歌うぐらいの上げ幅です。

リトル・リチャードのバージョンは1959年にイギリスでスマッシュヒットしますが、オリジナルの後半にコール・アンド・レスポンスのヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイという部分が付け加えられていました。このバージョンを1964年にカバーしたのがビートルズで、それゆえビートルズの「カンサスシティ」は近年では「カンサス・シティ/ヘイ・ヘイ・ヘイ・ヘイ」と表記されるようになり、作曲者のクレジットもリーバー＝ストーラーに加え、リチャード・ペニーマン（リトル・リチャードの実名）と表記されるようになったというわけです。ビートルズのキーはリトル・リチャードと同じGで高いです。