■タイガースの「都会」
「都会」はタイガースが解散する前年の1970年にリリースしたシングルで、リアルタイムでうっすらと覚えています。タイガース最後のトップ10に入った曲だそう。
1970年になるとGSブームは急速に収束し、王者タイガースも例外ではありませんでした。詞は1970年という時代を反映した暗く内省的なもので、今までのノーブルで陽気なタイガースのイメージとは一線を画するものです。
今聴くとなにやらユーミンの作風に似ているような感じで、村井邦彦さんの作曲かなとも思ったのですが、クニ河内さんでした。A-B-Cという構成で、Cで転調が入るという当時としては攻めた曲です。2番になるとキー全体が半音上がるというのは編曲上のアイデアですが、これもあまりない手法だと思います。
B面の「怒りの鐘を鳴らせ」もプログレチックで凄みがあります。ドラムとベースのミックスが当時としてはかなり大きく、良い音で録れています。当時、マルチは8トラックだったのでしょうか。ドラムもステレオになっています。
GS末期の曲は試行錯誤しているがゆえに、強い印象を残す曲があったにもかかわらず、日本の音楽界でなかったものように扱われている気がします。このあたりを掘り起こすととんでもないお宝が眠っているのかもしれません。
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