■月光の教え
「忍者部隊月光」は私が小さかった頃、よく観ていた番組でした。正義の忍者部隊が悪の組織と戦うという定型の物語でしたが、他の懲悪物といくつか異なる部分があったのです。
まず、そのひとつは「拳銃は最後の武器でなるべく使わないようにする」というルール。これはおそらく忍者部隊なのだから、「穢れた夷狄の武器」である拳銃などは使わず、日本伝統の刀と手裏剣で戦えということだと思うのですが、なにやら現在の警察官が刃物を持った犯人にさすまたで応戦する場面を思い出してしまいます。
そして、もうひとつが子供心に大きなトラウマとなったところ。どんなピンチな場面でも正義の味方は必ずその難関を切り抜けて、悪は成敗されて終わるというのがこの手のドラマの定型ですが、忍者部隊は隊員が戦闘中によく死ぬのです。確か、他の誰かを助けるために自分が犠牲になり爆死するという死に方だったと思うのですが、これは子供向けのドラマとはいえ、容赦ない設定だったと思います。
おそらく、その裏には人気番組となったこのドラマの刷新を図るためにたまにメンバーを入れ替えるという意図があったのかもしれませんが、冒頭のキャストのクレジットで主役の次に出てくるような人が突然ドカーンと逝っちゃう。子供心には現実の厳しさや諸行無常(笑)を知るのでした。
そういえば、この「忍者部隊月光」の原作がタツノコプロの吉田竜夫氏というのは割と最近知りましたが、私が小さい頃には、少年誌にゼロ戦なんとかとか紫電改のなんとかとか太平洋戦争を舞台にしたマンガが結構ありました。「忍者部隊月光」も原作では戦時中という設定だったとのことです。
|