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 Feb 7,2024

■1970年のガッツ

 私が音楽誌のガッツをよく買っていたのは1972年頃。当時はフォークブームだったので、表紙はフォーク系のミュージシャンでした。

先日、1970年3月号のガッツを入手したのですが、なんと表紙はジャズピアニストの佐藤允彦さんで、記事の内容も単なるミュージシャンのインタビューやレコードのレビューではなく、明らかに自分で曲を書こうとしている読者に向けた濃い内容なのです。

例えば、佐藤允彦さんはその連載で「イパネマの娘」の最初の音は9thのテンションで・・・、などと譜面付きで解説し、村井邦彦さんは読者から譜面で投稿されるオリジナル曲で出来の良いものを取り上げ、添削するというなんとも贅沢な内容。村井さんは投稿曲に対し、最近はmaj7を使った曲が多いが、まだ使いこなしていないようだ・・・などと解説しています。その他、コラムを担当しているのは、なかにし礼さんや小室等さんなど実際に音楽シーンの中の第一線で活躍している方々です。

1970年といえば、まだ爆発的なフォークブームは来ていないと思われ、GSも細々なから活動していたという微妙な時期。そのような中で1970年のガッツは数年後に訪れるオリジナル曲主流の時代を見越していたような内容です。

ちなみにガッツの創刊号は1969年8月号(1969年いっぱいはgutsの書名の左に集英社の芸能雑誌であるmyojoの文字も書かれている)で、最終号はたぶん1983年11月号だと思われます。


 

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