■TEXT

 Oct 20,2024

■リッセンバー

 戦後、まだ米軍が日本に進駐していた時代、日本のミュージシャンは米軍のクラブなどで演奏するという仕事があったそうです。

その際、アメリカで流行っている曲をいかに早くレパートリーに入れて演奏できるかの勝負になるわけですが、リアルタイムでそんなレコードは日本には入ってきていません。そこで、在日米軍向けに放送されていたラジオで流れる最新のヒット曲をいち早く聴いて、覚えて、歌詞も聞き取りで書きとったのだそうです。

ところが、このラジオはAMなので音が悪い上に、英語の話せるミッキー・カーチスさんのような人でも歌詞がよく聞き取れず、適当な歌詞で歌っていると、米兵によくそこの歌詞はこうだと直されたそうです。

ところで、私は今の今まで日本の歌でも何と歌っているのかよく分からない歌詞がありました。それは佐野元春さんの「ハッピーマン」(1982年)という曲の一節。最初の方の「アスピリン片手のジェットマシン」はずっと「アイスクリーム片手の・・・」だと思っていましたが、その部分はまあ、それでも意味は通ります。ところが、Aセクションの繰り返しの3行目。私にはどう聞こえていたかと言うと

「仕事も デートに 峰まで リッセンバーで Hurry up hurry up」

リッセンバーってなに? どこかの山の峰に、リッセンバーというバーでもあるのかなと。

で、何十年かぶりにそのことを思い出して、歌詞を見ると

「仕事も 適当に みんなが待ってる 店まで Hurry up hurry up」

これが正解らしいのですが、やはり何度聞いても「リッセンバー」って聞こえます(笑)。

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