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■TR-909 ローランドのリズムマシンTR-808は現場でもドンカマとして使われているのをよく見かけましたが、その後継機種のTR-909はあまり見た記憶がありません。808がオールアナログの音源に対して、909は金物だけがPCM音源だったはず。1980年代半ばに20万円ぐらいだったので、プロユースを念頭に置いた製品だったと思います。ただし、すぐにオールPCM音源のマシンが出てきて、909は中途半端な存在になり、浸透しなかったと記憶しています。 先日、ネットで楽器の販売サイトをなにげなく見ていたら909が出ていて懐かしいなと思い、価格を見ると、なんと驚きの100万円!(桁が間違っているんじゃないかと二度見しました・笑)。 808が現在高いのはなんとなく分かりますが、不人気機種であった909がこの値段とは・・・。808にはなかったMIDIがあるからなのか、出荷台数が少ないゆえの希少性なのか。 まあ、808にしろ909にしろ、当時、誰も見向きもしなかったTB-303にしろ、海外のハウスやテクノの連中が使い始めてようやく脚光を浴びたという流れですが、海外の有名アーティストが使って一躍有名になった日本製の楽器にはシンエイのユニヴァイブやアイバニーズのチューブ・スクリーマーなんていうのもありました。ヤマハのスタジオモニターNS-10Mも海外のスタジオから火が付いて、逆輸入のような形で日本のスタジオに波及したという感じだったと思います。そう考えると、誰もが忘れていて、現在は投げ売り状態の中古楽器の中に将来引く手あまたとなる機種がまだまだ潜んでいるのかもしれません。 909はそのエディットのできるアナログ部分はともかく、初期の低ビットのPCM音源まで使えるというなら、私の倉庫に眠っている処分の時を逃した初期のサンプラーモジュールももう少し寝かせればとんでもない価格になるのかもと下種い考えが浮かびました(笑)。
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