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■その場直し 作家として活動を始めたばかりの頃、当時の作家事務所というのが六本木にあったPMP(フジパシフィック 音楽出版の前身)に間借りをしていたのですよ。で、曲の発注(もちろんプレゼン)を受けて、いつもこの六本木 に曲を持っていって、当時のマネージャーとか、ディレクターとミーティングしてたんです。別に誰かが曲の書き 方なんて指導してくれるわけではないので、良い、悪いという聴いた人の反応を自分なりに分析して、次につ なげていくって感じでしたよ。 ある日、ある曲が採用されそうになったのですが、どうもサビがピンとこないという意見がレコード会社サイドか ら出たんです。しかも急ぎで時間がないとのこと。急遽、その場で書き直しということになったんですね。PMPが 会議室みたいな大きな部屋を提供してくれて、そこで出来るまでやりなさいというわけです。えーと、こういうの をタコ部屋っていうのかな?(笑) そういう時って火事場のバカヂカラではありませんが、予期しない力が出るんですね。30分ほどで新しいサビは 出来上がりました。あー、まだこの切り口があったかと反省するとともに、期待を応えることが出来たという充 実感や、プロっぽい意識が目覚めた感情は今でもよく覚えています。 それ以降、この「その場直し」も何度か経験しましたが、一番すごかったのはその直しをホンモノのスタジオで やったことです。ちょうど他のアーティストのレコーディングが終わったところに曲を持っていって「ちょっとここ別 パターンありませんかね?」と言われたんですよ。言い方は柔らかいですが、要は直してくださいってことです。 こういう時にテーブルひっくり返さないで、笑って直しが出来るかどうかが職業作家の適性のひとつのような気 も・・・(笑)。 で、出来たら呼んで下さいと言われて、スタジオのスタインウェイの前でいきなりお仕事ですよ。コントロールル ームにはスタッフが待ってるというプレッシャー(笑)。「出来ました〜」とか言うと、「はい、じゃあ録りま〜す」と か言われて、デモもすぐ出来ちゃうところはよかったけど内心では結構ピンチでした(笑)。 2004/5/31 |
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