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Sep 8, 2010 

■ギターの弱点

 
ターという楽器の致命的な弱点はどんなギターでも厳密に言えばピッチが合わないことです。これは直線
のフレット楽器共通の弱点です。

ギターとチューニングメーターが手元にある人は試してみるといいです。弦の細いエレキギターの方がいいかも
しれません。まず、チューニングメーターでチューニングを正確に合わせます。それから2弦や3弦の1フレットを押
さえてそのピッチを見てみます。するとチューニングメーターの針は中央ではなくわずかに右、つまりシャープし
ているはずです。そして、そのまま押さえている指に力を入れると、さらに針は右へ動くはずです。これは100万
円のギターでも、1万円のギターでも起こる現象です。エレキギターのローコードが微妙に上ずった感じがするのであれば、それはこの微妙にシャープしたピッチによる可能性が大です。

これがなぜ起こるかというと、押し弦した際に弦にテンションが加わり、本来の音程よりシャープするというわけ
です。カポをすると特定の弦のピッチが上がってしまうのも、これが理由です。おそらく耳のよいプレイヤーはそ
のあたりを聞き分け、指で修正を加えている人もいるはずです。また、2つの音の距離によって、ピッチが気にな
ったり、ならなかったりということあるらしく、4度や5度では多少ピッチが上下しても気にならないというのが通説
です。

この問題がやっかいなのは弦の太さや材質によってもピッチの変化量が変るということ。プロギタリストが概して
太い弦を好むのは、太い弦の方がテンションに対してピッチの変化量が少ないことを経験として知っているから
かもしれません。つまり本当にピッチの正確なギターを作ろうと思ったら、まず、弦のメーカーと太さは不変にし
て、さらにその弦で押し弦した時の各フレット、各弦のピッチを測定して、それに対応した全てのフレットがギザギ
ザのフレットのギターを作らなければならないということになります。こういうギターもあるらしい(下写真)のです
が、ベンディングは問題ないのでしょうかねぇ。

また、実用的な解決策としては6弦それぞれのピッチをナットの移動などで近似値に合わせ、修正するという
方法も最近よく見るようになりました。ただし、これを既成のギターでやろうと思うと、ナットの交換が必要(アコ
ギではサドルも)です。ノーマルギターのままでピッチを少しでも改善したいと思ったら、一番手っ取り早い方法
は太い弦を張ることなのです。

写真が歪んで
いるのではないのですよ(笑)
これを見るとエ
レキギターの3弦のピッチがい
かに不安定な
ものかが分かり
ます。


岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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