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Sep 10, 2012 

■モンキーズという伏線

 
にして思えば、ローティーンの頃にビートルズを聴いてあれほど感動を受けたのは、その前にテレビで聴
いていたモンキーズの影響があったのかもしれません。

小学生の時にテレビで「モンキーズショー」という番組がありました。コミカルなストーリーで、級友でも見ていた
子はたくさんいました。オープニングは「モンキーズのテーマ」が流れ、耳で覚えた英語で小学生がみんな
「ヒアウィカム〜ウォキダンザストリー〜」などと歌っていたのですから、当時のテレビの影響力はすごいもの
です。その番組の中で毎回モンキーズの曲が流れるコーナーがあったのです。

「恋の終列車」、「アイム・ア・ビリーバー」、「デイドリーム・ビリーバー」、「プレザント・バレー・サンデー」などの
キャッチーな曲がテレビを通じて、日本のお茶の間に毎週流れました。当時はまだこちらにもそれらの曲に感
動を覚えるまでの受け皿は形成されていなかったものの、巷で流れていた歌謡曲とは全然異なる匂いはかぎ
分けていたのだと思います。「モンキーズのテーマ」の頭のバースがあって、途中からリズムが入ってくる落差
のかっこよさなどは子供心にも本能的に心が動かされました。

モンキーズはアメリカのプロダクションがアメリカ版ビートルズを作るべく、オーディションによってメンバーを集め
作られた、いわば、人工的なバンドであったことは広く知られています。そして、モンキーズの曲を書いていたの
は、ビートルズなどをロジカルに分析し、同じような作風で仕上げた職業作家たちで、それらの作品群は職業作
家というフィルターを通した良質なビートルズ風の曲であったという見方もできるかもしれません。私はその数年
後にビートルズを聴いてぶっ飛ぶのですが、それは先に聴いていたモンキーズの音楽が、ビートルズのような
音楽に対しての受け皿が作っていたからだったと思うことがあるのです。

(モンキーズの話題、さらに次回に続きます)

 

 R.I.P. Davy Jones
思い出すのがこの赤の2列ボタンのコスチューム
(シングルコレクションのジャケットより)

岸正之ホームページ kishi masayuki on the web


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