■1982年のデジタルマスター
1980年代初頭はCD時代の到来に向けて各社が業務用PCMプロセッサー(アナログ信号をデジタルに変換する機械)の開発にしのぎを削っている時期でした。ソニーは一足速くPCM-1600というプロセッサーを発表し、それが業界の標準になりつつあり、ライバルであるビクターもDAS90を開発し、1980年代初頭には現場で使われていました。
下の写真は私の最初のアルバム(1982年リリース)のレコード・リリース・ノーティスという文書ですが、そこにJVCのDAS90を使用したデジタルマスターが作られていたことを示すスタンプが押されています。私が立ち会った現場でトラックダウン先にデジタルが使われたことはなかったと記憶していますし、マスタリング元もアナログマスターテープであったはずですが、やはりアナログマスターの直後にCDの時代を見越したデジタルマスターは作られていたようです。2014年にこのアルバムは初めてCDになりましたが、そのマスターはおそらくこの時のデジタルマスターを元にしたものだったのでしょう。
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