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Feb 14,2017

■ハーモニウム

 かで読んだ話。たぶん日本がジャズブームに沸いた時期なので1950年代の話だと思います。ジャズバンドのピアニストだった中村八大さんは地方回りのライブで大変忙しかったそうです。その日もライブがあるのですが、その会場には肝心のピアノがなかったのです。当時、そのようなライブを仕切っていたのは地元の興行師で、そのお兄さん方がピアノありましたと持ってきた楽器がなんか違う。よく見るとそれはどこかの幼稚園から借りてきた足踏みオルガンだったというオチです。この足踏みオルガンの欧米での名称がハーモニウムやリードオルガンなのでした。

実際にはハーモニウムといってもピンキリで、それこそ昔の日本の幼稚園にあったような量産型の簡単なものから、クラシック音楽でも使われるような本格的なもの、またはインドで独自に発達した手動によって空気を送るコンパクトなものまで把握しきれないぐらいのタイプがあります。ポップスで使われた有名な例ではビートルズの'We can work it out'。あのバックでヒャーと入るオルガンそのものの音がハーモニウムです。

1965年に英グラナダTVが制作した'The music of Lennon & McCartney'という番組でビートルズが同曲を演奏する際、レノンがハーモニウムを弾いている貴重なシーンがあります。このハーモニウムはどこから持ってきたのだろうと調べたら、面白いことが分かりました。同年に同じくグラナダTVは'Coronation street'という連続メロドラマを放送していて、登場人物であるEna Sharplesという人の部屋(セット)に置いてあったハーモニウムがレノンの弾いたものだったということです。余談ですが、この'Coronation street'にはEna Shaplesの孫役で若き日のデイビー・ジョーンズ(モンキーズ)も出ていたのだそうです。

 

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