■モーニング・ムーンは粗雑に

 「モーニング・ムーンは粗雑に」は1981年に公開された映画です。当時、サザンオールスターズが音楽を担当していることで話題になったような気がします。

この映画に興味を持った理由のひとつは横浜が舞台であることなのですが、実はこの瑞穂埠頭の「スターダスト」近辺でのロケの時、偶然に居合わせたからなのです。当時、東京の友達がよく横浜の渋い店に来たがって、ある晩、そんな友達たちと「スターダスト」に行くと、映画のロケの最中で、それがこの映画でした。

今回、そのDVDを初めて観るとまあ、懐かしい場所がたくさん写っているではありませんか。最初の方のオーディションのシーンは、私もよくリハーサルした渋谷のマックスタジオ（このシーンで若き日の斉藤誠さんが登場）ですし、「スターダスト」はもちろん、今ではもうない元町のレストラン「キャプテン」、本牧のディスコ「リンディ」、新山下の「バンドホテル」(部屋の中はおそらくバンドホテルではなく横浜駅周辺のどこかのホテルだと思われます）など1980年代の横浜の名所を記録した映像は貴重です。コンビナートの見えるレストランでのロケは根岸の「ドルフィン」かもしれません。当然、ベイブリッジやみなとみらいのビル群もまだなく、横浜港も何かのっぺりとしています。そして出演されている范文雀さん、岸田森さん、渡瀬恒彦さんはすでに故人となり、時の流れを感じざるを得ません。