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 May 1,2022

■ナイトクラブ・ブルースカイ

 石原慎太郎さんの若い頃を回想するエッセイでたびたび出てくるのがナイトクラブの話。氏の著書「わが人生の時の人々」から要約して引用すると「ナイトクラブという社交の場が大都会に登場し、音楽と踊りとショウと酒と料理という歓楽の取り合わせが、都会ならではのナイトライフの舞台となった」とあります。

1950年代から1960年代にかけて横浜にも何軒かあったナイトクラブのひとつがブルースカイでした。確か学生時代のみのもんたさんがここでバイトしていたことがあると何かで読んだ記憶がありますが、1950年代の映画でここがロケ場所として使われている作品が複数あります。

私の知る限り、「太陽の季節」、「狂った果実」、「月蝕」(ともに1956年作品)にはブルースカイのエントランス付近が登場します。特に「月蝕」ではブルースカイが重要な舞台となっており、内部はセットだと思われますが、エントランスから駐車場付近、駐車場に入るための建物東側の通路などがロケで使われています。この3作品に共通なのはともに日活映画であり、原作は石原慎太郎さんであるということです。もしかすると、日活とブルースカイの間にはタイアップのような関係があったのかもしれません。ちなみに1956年は石原裕次郎さんが鳴り物入りで日活に入社した年で、この3作品にも出演していることは言うまでもありません。

ブルースカイのあった場所は今の山下公園前のマクドナルドのある付近で、ちょうどマリンタワーとホテル・ニューグランドの間。エントランスは山側にあり、エントランスの前が平置きの駐車場になっていました。車は海側からも入れるようになっており、建物の東側にそのための通路がありました。まだ自家用車が一般的ではなかった時代にこれだけの駐車場があるということは、そのような限られた層が主な顧客であったということなのでしょう。



 

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