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 Jan 13,2023

■「マイティジャック」の冨田勲

 「マイティジャック」は1968年にテレビで放送していた円谷プロ製作の特撮もの。今の目で見ると、これに日活のアクションもののクールな役柄で人気を博した二谷英明さんが出演していたミスマッチ加減に驚きますが、当初は大人向けの内容で始まったとのことです。

リアルタイムではほとんど覚えていませんが、最近、その音楽を聴いて、この変則さは冨田勲さんかもと思ったら、やはりそうでした。

おそらくイギリスのサンダーバードなどを手掛けたバリー・グレイ的アプローチだと思うのですが、クラシック系のスコアを書ける人の書く歌ものは独自の世界があり、ゴジラの音楽で有名な伊福部昭さんの書いた「サンダ対ガイラ」の挿入歌「Fell In My Heart」も看過できない曲でした。

冨田さんの書いた「マイティジャック」はどんな曲かといえば、まず頭の3小節目からすでに転調していて、あれれと思うのです。そしてAセクションの繰り返しの後半ではまた違う展開になり、ようやく調感が落ちつくのはサビに入ってからです。テレビサイズの短いタイムにいかに詰め込むかを考えた結果、こういう作りになったと推察しますが、次はこう行くだろうという予想を見事に裏切る作風は「キャプテンウルトラ」でも見られる冨田さんの手法です。

ところで、この曲のインストではエレキギターがメロディを弾いているヴァージョンがありますが、この時代のスタジオ・ギタリストは一体どんなギターを使っていたのだろうと気になります。この時代のプレイヤーは間違いなくジャズ出身だと思いますが、ギブソンのフルアコかなにかを使っていると思いきや、私の耳にはフェンダー系のシングルコイル・ピックアップの音に聴こえます。ジャガーあたりでしょうか。


 

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