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 Feb 22,2023

■ヴァスト・オブ・ナイト

 アマゾンの製作した「ヴァスト・オブ・ナイト」(2019年)を観ました。

舞台は1950年代の田舎町。物語はDJである男と、電話交換手である少女を軸に進みますが、もう冒頭のシーンから、この映画は「トワイライト・ゾーン」のような映画ですよという導入部があり、物語の途中でも、時々、古いテレビのような荒れた白黒の映像に切り替わって、この設定を忘れるなよと促されます(最後のクレジットまで1950年代仕立てという凝りようです)。

テープレコーダー、電話交換手、電話でのやりとり、ラジオ放送、不思議な音、呪文のような言葉というように音が重要な鍵となり、老婆の長尺の告白なども通常の映画であれば、それを映像で再現するのが映画なわけですが、それもなく、なるほど、これはラジオドラマのようなスタンスなのだなと理解するのです。

1950年代の街はおそらくVFXだと思いますが、薄暗いあかりの中で起こる不思議な物語は何か懐かしいような記憶を喚起させます。

これでもかこれでもかと宇宙船やら宇宙人がハイレゾで登場する最近のSFものに比べ、このアプローチは新鮮で、1950年代のSF映画を愛する私にとっては嬉しくなるような映画でした。


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