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 Apr 17,2024

■1960's UKブティック事情

 大型本はかなりの動機がなければ買いませんが、これはたまたま藤沢の有隣堂の古書市で見つけて即購入しました。原宿にあった洋書屋さんの定価プライスタグがそのまま付いていたので、たぶん新品状態で長く売れなかったものが流れ流れて鎌倉の古書店へたどり着き、藤沢に並べられたのだと思います。ちなみに著者のリチャード・レスターという名前を見た時にえっ?と思いましたが、あの映画監督とは同姓同名の別人です。

特に知りたかったのはBibaGranny Takes A Tripのこと。1970年代に日本でスタートしたヨーロッパ系ファッションブランドは少なからずこのあたりから影響を受けていると思います。グレイの保守的なスーツスタイルから、ある日突然ミリタリーやサイケデリックが出現し、グラムへたどり着くというUKファッションの流れがなんとも刺激的。ロックスターがそれを身に着け、ブームを後押ししたのは言うまでもありません。ちなみにサイケデリックは1967年夏にピークを迎え、1968年にはすでに収束しますが、このパッと咲いてパッと散るムーブメントの有り様はいかにも若者中心に巻き起こったカルチャーという感じです。5月に公開される加藤和彦さんのドキュメンタリー映画「トノバン」を観る前の予習の意味もあり。

1970年に加藤和彦さんが出ているゼロックスのCMで「モーレツからビューティフルへ」というコピーがありましたが、この「ビューティフル」という言葉もスウィンギング・シックスティーズのキーワードだったようです。ビートルズがApple Boutiqueを立ち上げた時のポール・マッカートニーの言葉は「美しい人々が美しいものを買える美しい場所」。ちなみに鳴り物入りで登場したアップル・ブティックもわずか7カ月で閉業。ビジネスとしては成功しませんでしたが、誰もが夢見ていた時代のアイコンでした。

ところで、日本のGSにも2年遅れぐらいで浸透したミリタリーユニフォームのルーツもやはりこのあたりですが、白いタイツにフリルのシャツみたいな王子様ルックはどこから来たのでしょう。「キックス」のヒットがあるアメリカのバンド、ポール・リヴィア&ザ・レイダーズあたりなのでしょうか。


 

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