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 Nov 1,2024

■1965年のギターの値段

 先日、神保町で1965年12月号の「ミュージックライフ」を入手しました。

1965年といえば、ビートルズがイギリスより勲章を授与された年。日本ではベンチャーズブームの真っ只中で、エレキギターが飛ぶように売れたというので、ギター関連の広告も多く掲載されています。そのプライスリストによると、フェンダーの「ストラスカスター」とジャズベースがそれぞれ17万7千円。当時の大卒初任給が2万円ぐらいなので、今の感覚で言えば100万円を優に越える感じでしょうか。同じアメリカ製でもケイのソリッドギターが4万2千円。マッカートニーの使用で有名なドイツのヘフナーのベースは5万4千円。ちなみに当時のトヨタの大衆車パブリカが40万円ぐらい。

一方、国産ギターはどうかといえば、グヤのミュージシャンというホローボディのギターが1万4千円、最高機種のデラックスが3万7千円。バイオリンの鈴木の電気ギターは1万7千円。グヤと人気を二分したテスコのリストは掲載されていませんが、だいたい1万円台から2万円台。この時点でヤマハはまだエレキギターの販売はしておらず、1965年の末に公開された東宝映画「エレキの若大将」にはプロトタイプを提供しています。

ギブソンのプライスは載っていませんが、フェンダーよりもおそらく高価なので、やはりギブソン、フェンダーは相当がんばらないと買えない代物であったことが分かります。ちなみに海外製でもケイ、ハーモニー、フラマス、ヘフナーなどは廉価な方で、国産では物足りないという層には人気を博したようです。グループサウンズ時代のベーシストにヘフナーの愛用者が多かったのはその値段の安さもあったと思われます。マッカートニーも下積み時代のハンブルクで、フェンダーは高価でとても買えなかったので、その1/3の価格のヘフナーを買ったと語っていますが、日本でも同じような状況があったというわけです。


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