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 Apr 1,2025

■フェンスの中のアメリカ

 最近、入手した興味深い写真集「フェンスの中のアメリカ」。2014年発行のこの本はタウン誌「はまっ子」の編集長だった方がベースに居住していた人から譲り受けた写真を編集したものとのことで、1959年から1964年までの本牧の米軍ベースをとらえた写真集です。

1980年代の始めまで残っていたこのベースを私もよく覚えており、偶然にもベースのなくなる最後の年にここでビクターの宣材写真を撮ったことなどもありました。

今は住宅や商業施設になっていますが、ベースのあった時代にはその広大な敷地にシアターやPX(post exchange 売店)、学校や芝生のある平屋の住宅が日本人オフリミットのエリアとして存在していました。その近辺にはそれらのアメリカ人相手の飲食店が立ち並び、日本とアメリカをミックスしたような独特の雰囲気を形成していました。

この写真集を見て、私の記憶の位置関係がかなり間違っていたことが分かりました。例えば、劇場(Bill Chichering Theater)は道路と広大な駐車場を隔てて、道路と並行に建っていて、その並びにYokohama Navy ExchangeとU.S. Navy Commissary Storeがあったという配置でした。

また、PXではギターも売られていて、フェンダーのテレキャスターはだいたい本国と同じ200ドル(当時のレートで7万円ぐらいで、日本での当時の定価の約半値)だったとのこと。そういえば、当時の日本のプロのギタリストがアメリカへ帰る兵士からフェンダーを格安で買ったなどという話も読んだことがあります。

さらにベース内にはYo-Hiと呼ばれた軍属の子女向けの学校もあり、そこには後に「スター・ウォーズ」のルーク役で有名になるマーク・ハミルが通っていたこともあったのだそうです。


 
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