■TEXT

 Oct 1,2025

■ゴジラのシェー

 私が小学生の頃は様々なブームが巻き起こっては消えてゆきましたが、その中で印象的だったのが怪獣ブームでした。

夏休みになると古い怪獣映画をテレビで放送していて、私はそこで初代ゴジラやラドンや地球防衛軍を観たのだと思いますが、初期の怪獣ものは子供への忖度など全くなく、硬質で、大人の鑑賞を前提に作られていました。ディテイルは分からないながらも、子供心にその真剣さや、底流になにか作者の伝えたい大事なものがあることは十分に感じ取り、その畏怖のようなものに惹きつけられたのかもしれません。

初代ゴジラでもラドンでもただ人間VS怪獣という構図で、人間が勝ってそれでよかったではなく、あの悲しくなるようなラストシーンは、それまでの怪獣をやっつけろと思っていた気持ちが逆転してしまうような、送り手の伝えたいなにかがあったのは明確で、それがとてもピュアなもののように感じ、心が浄化されるような気がしたのです。

劇場で実際に観た映画で覚えているのは「エレキの若大将」(1965年)と併映だった「怪獣大戦争」。この時代になると、映画産業自体がやや陰りを見せ始め、てっとり早く子供の動員を得るために、怪獣映画そのものも作り方がエンタメ色の強い、子供向きのものになっており、あの恐ろしかったゴジラはいつの間にかキャラ変し、地球の守護神、子供の味方という設定になり、なんとシェーまでするという媚びようでした。

私はこのシェーを見た時に、子供のくせにその商業的なあざとさや子供だましを感じ、それ以降、怪獣には全く興味を失ってしまいました。大映のガメラも子供が主人公となり、子供に媚びた挿入歌になるともう耐えられなかったです。唯一、あれは怪獣ものといってよいのか不明ですが、同じ大映でも大魔神シリーズは子供への忖度は全くなしに作られていましたが、当時は時代劇ものが苦手で、シリーズを通して観て、すごくちゃんと作ってあると気付いたのはかなり大人になってからのことです。


 
 kishi masayuki on the web


<<   TEXT MENU   >>

HOME