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Feb 28,2016

■小津監督と横浜

 前のサイレント映画「非常線の女」(1933年)は小津安二郎監督にしては珍しい横浜ロケが行われています。

田中絹代さんがオフィースから出てくるシーンは現在、アルテリーベというレストランがある日本大通りの周辺で、奥に横浜地方裁判所のエントランスのアーチや三井物産ビルも写っています。


また、田中さんが学生の姉と会うシーンに写っているのは元町公園の前にある山手聖公会教会です(ちなみにこの学生役は黒澤明監督の「どん底」で存在感のある役を演じた三井弘次さん)。

ところで、小津監督は戦前に数回、中華街に2011年まであった「安楽園」に来店したという情報があります。1933年に田中絹代さんらも一緒に来たことがあったというので、この「非常線の女」の撮影時だったのかもしれません。私が知っている「安楽園」は戦後に建て直された3代目の建物ですが、戦前の2代目「安楽園」は2階の通り側にステンドグラスの窓を配した近代的な建物だったようです。なるほど、ステンドグラス風の窓は2代目から引き継いだものだったのですね。


 

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